トップページ > 130年の歩み > (2) > 24.洋上石油備蓄基地の建設促進 (昭和53年4月)

130年の歩み

130年の歩み

24.洋上石油備蓄基地の建設促進 (昭和53年4月)

 昭和52年3月、三菱商事など民間10社が共同して、上五島町に洋上石油備蓄基地建設の計画を進めていることが明らかにされた。この計画は、三菱長崎造船所が新しく開発した工法により、同町青方湾に貯油タンク7基を浮かべて、わが国の石油消費量の7日分に相当する約600万K?の原油を貯えようとするもので、総事業費は約1,800億円、工事量は同造船所香焼工場の1年2カ月分にあたる大規模なプロジェクトであった。

 この計画は、国のエネルギー政策にこたえるだけでなく、当面する造船不況の打開、さらには地域経済の浮揚につながるものとして、長崎県当局は全面的にバックアップしてその推進をはかることになり、経済界はひとしくその早期実現に大きな期待を寄せた。

 しかしながら、地元漁民らの反対の動きが強く、さらに53年には民間備蓄から国家備蓄へ計画が転換された事情なども加わって53年に至っても、事態の進展は、まったく、みられなかった。

 こうした情勢のなかで、清島長崎商工会議所会頭は、経済界も県当局に積極的に協力して、その早期実現に努める必要があるとして、県内主要経済団体による長崎県石油備蓄基地建設促進期成会の結成を提唱、各団体の賛同を得て結成の準備を急いだ。

 期成会は、長崎県商工会議所連合会、長崎県経営者協会、長崎経済同友会、長崎県中小企業団体中央会、長崎県商工会連合会、日本青年会議所長崎ブロック協議会、長崎県造船関連企業連絡協議会の七団体で組織することにし、53年4月14日、長崎グランドホテルに、各団体の代表十五人が集まって創立総会を開いた。

 規約審議のあと会長に清島商工会議所連合会会長を推し、経済界の総意と総力を結集して洋上石油備蓄基地の建設促進に全力を傾けることにした。

昭和63年9月に完成した上五島洋上石油備蓄基地
昭和63年9月に完成した上五島洋上石油備蓄基地

 当日、総会にひきつづき、ただちに県知事、県議会議長に対し「県政の最重点施策として、より一層積極的に推進をはかって欲しい」旨要請を行なうとともに、政府、関係続開、県選出国会議員等に陳情書を送付するなど、さっそく活動を開始した。

 この間、県当局の懸命な説得工作にもかかわらず、地元の反対は依然として根強く、計画は遅々として進まないまま推移したが、翌54年に至って、地元有志により誘致促進期成会が結成されるなど事態はようやく進展のきざしをみせることになった。

 しかしながら、国家備蓄基地の指定取り付け、漁業補償の条件、建設工事の県内受注確保など解決すべき困難な問題が多々残されて、前途はなお楽観を許さない情勢にあったため、期成会は中央に対する陳情要望活動の一層の強化、地元期成会の支援など県当局と一体となって、その早期実現を目指して活発な活動を進めた。

 こうした活動が実り、昭和63年9月に完成、10月1日、「上五島石油備蓄基地」は初の原油を注入(オイルイン)、備蓄業務を開始した。当初は1期分は5隻、2期分は2隻の予定であったが、1期分の5隻のみでの操業となった。


前のページへ ページの先頭へ 次のページへ

長崎商工会議所ホームページへ

このコンテンツの見方
『長崎商工会議所 創立130年の歩み』の一部のデータをご覧いただくには、アドビ社が無償配布しているアドビリーダーまたはアドビフラッシュプレイヤーが必要です。アドビリーダーまたはアドビフラッシュプレイヤーは下のアイコンをクリックし、ダウンロードしてご利用ください。

※Adobe、Adobe ロゴ、Adobe Reader、Adobe Flash Player、 は、Adobe Systems Incorporated(アドビ システムズ社)の米国ならびに他の国における商標または登録商標です。
Adobe ReaderまたはAdobe Flash Playerをダウンロード、インストールすることによって生じるトラブルについては長崎商工会議所及びアドビシステムズ社は責任を負いませんので、あらかじめご承知ください。

get adobe readerget flash player